2012-02-07

寄り道

目黒からの帰り道、雨降りやなんだかんだで自転車に乗らない日は、バスで渋谷まで出ることが多い。大概座って本が読め、時間が少しかかるのも、かえって考え事に丁度良い。

渋谷で軽く食事することもあり、そんな時に寄るのが東急プラザ。本屋もあれば鉄道模型もある、かと思えば地下はマーケット風で浅草橋みたいなものも売っている楽しいビルだ。その上昼夜の食事の場所にも事欠かず、地下二階に数店舗、階上昇れば9階にあれこれあって飽きない。

時折行くのは、地下の「ぼてじゅう」や9階のとんかつ「蓬莱亭」など。「ぼてじゅう」はカウンターがあるので自分のような薄汚いのが一人でも気が楽で、手際のいい「中の人」を眺めながら結構おいしい「お好み」にハイボールなぞで軽く一杯やれる。味の方は上手な人とさほどでない人がいて運次第ではありますが。「蓬莱亭」は昔から渋谷にある店で昭和レトロな雰囲気。ベーコンで巻いたメンチをカツに揚げた「長崎」や立派な椎茸を使った「どんこかつ」など面白いメニューもある。昭和21年創業「ハチ公ソース」の甘く懐かしい味も特色で、子どもの頃の記憶と寸分違わぬその味で小学生の頃この店の本店(同じく渋谷)に父親と行ったことを思い出した・・・ってちょっと料理漫画みたいな展開ですが。

とんかつと同じフロアには、これまた昔からの「ロゴスキー」なんかもあるのだけど、ロケーションが悪いわけでもないのにいつもどの店も比較的空いている。最近はそんな中の一店「イル・グァッテロ」に入ってみた。初めてということはないはずなのだけれど、良くも悪くも何も記憶していないので、まあ、初めてみたいなものだ。ひろびろした店内は昭和50年代風の雰囲気が漂い、その一角には仕事のみえるクチーナが。さほど腹が空いていた訳でもないので、グラスワインにカプレーゼ、ペンネのアラビアータを選ぶ。グラスで買えるワインは4種、安い方の赤を頼む。これが予想外の良さだった。イタリアなのかスペインなのか、遠目にはほっそりと見えるけど傍に行けば、出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいる大人っぽいヨーロッパ美女だ。650円は本当は高いけれど充分我慢できる。カプレーゼもトマトはちょっと貧弱だったけれど、なかなか美味しく、アラビアータの味も妥当なところ。椅子とテーブルが「外人サイズ」で、全体にちょっとくたびれた店内や何となくおどおどしたホールスタッフ、折角の入口脇のカウンターが妙な具合に半分隠されている、なんていうことさえ気にしなければ良い店だ。夜なら、そんなささいなことと充分トレードできる渋谷の夜景も楽しめる。ただ、料理は古風で「ヘルシー」なんていう言葉がなかった頃の雰囲気だから、何事にもスマートであっさりした清潔さを求める現代の若者には受け入れられないかも。ま、どうせ客の年齢層は高そうだけど。

と、そんなことを書いているうちに、「東急文化会館」のことを思い出してしまったのだけれど、それはまた別の日にしようっと^^

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